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レトロポップ平和島とブラウン管テレビの歴史

レトロポップ平和島とブラウン管テレビの話。置き始めてから今の形になるまで

レトロポップ平和島を始めてから、ありがたいことに気づけば3年以上が経ちました。

今では、MVやアーティスト写真、アパレル撮影など、さまざまな方にご利用いただいていますが、1年目はかなり厳しい状況で、手探りのまま試行錯誤を続けていました。

2026年5月には、3年の節目としてプチリニューアルも予定しています。
ちょうどいいタイミングでもあるので、ここで一度、レトロポップ平和島のブラウン管テレビがどう変化してきたのかを記録として残しておこうと思います。

今では、レトロポップ平和島の特徴として「丸窓」と並んで「ブラウン管テレビ」を思い浮かべていただくことも増えました。
ただ、最初から今の形があったわけではありません。

置き方、見せ方、台数、使い方。
少しずつ試しながら、レトロポップ平和島の空気に合う形を探ってきた感覚があります。

ブラウン管は「置けばすぐ成立する」ものではなく、背景としてどう機能するかを少しずつ探りながら、今の形に育ってきました。
こちらが現在の状態です。

ブラウン管テレビのある撮影スタジオ

今回は、その変化について書いてみようと思います。

手探り状態の2023年3月(スタジオスタート期)

もともとはオフィス利用を予定していた物件でしたが、せっかくならスタジオにしようと考えたところから始まりました。
冒頭の画像と比べるとかなり違うことがわかると思います。

とはいえ、当時は撮影スタジオとしてのノウハウはゼロ。
どうせやるなら自分たちの好きな空間にしたい、という気持ちから、もともと好きだった古いSF映画やスペースエイジの空気感をヒントに、アイテムを揃え始めたのが起点です。

その中で最初に手に入れたビンテージのブラウン管テレビが、「National POPMECA」でした。

スタジオ初期に導入したビンテージブラウン管テレビ「National POPMECA」

レトロポップ平和島のスタート期に最初に導入した、ビンテージブラウン管テレビ「National POPMECA」。

UFOのようなフォルムにシルバーのボディ。
かなりSFっぽさがあって、一目惚れに近いアイテムでした。
投影はできないものの、実際にスイッチを入れて砂嵐を映すことができます。

そしてもうひとつ、同時期に手に入れたのが「フリフリQ」です。

レトロポップ平和島のスタート期に導入したビンテージブラウン管テレビ2台

レトロポップ平和島のスタート期に手に入れた、POPMECAとフリフリQ。ブラウン管の歴史はこの2台から始まりました。


こちらもレアなビンテージテレビで、POPMECAと同じくスイッチを入れると砂嵐が映ります。

スタジオ開始時には、実はブラウン管テレビはこの2台だけでした。

今思えば、「アイテム」としては面白かったけれど、「背景」としてはまだ弱かったのかもしれません。

それでも、この頃からすでにブラウン管ならではの魅力は強く感じていました。
映るのは砂嵐だけなのに、その向こうには当時このテレビを見ていた人たちの生活や無数のドラマがあったんじゃないか、と想像すると、すごくワクワクしたんです。

スタジオの清掃に行くたびに、どうせ砂嵐しか映らないとわかっていても、ついスイッチを入れてしまう。
そんな楽しみが、この頃からありました。

ロケハンでのヒアリングがヒントになった、丸窓の造作(2024年1月)

2023年の終わり頃までは、かなり低浮上の状態が続いていました。
その中で大きなヒントになったのが、ロケハン時のヒアリングでした。

そこで思い切って大幅なリニューアルを施したのが、現在の特徴でもある「8面丸窓」です。

丸窓の造作によって印象が変わったレトロポップ平和島の空間

現在の特徴でもある8面丸窓。空間の印象が大きく変わった転換点でした。

もともと最上階7階ワンフロアという条件のいい物件で、見晴らしも良く、自分たちとしては快適な空間でした。
ただ、撮影スタジオとして見ると、あまりにも普通のオフィスビルだったんです。

この頃にようやく、撮影スタジオとして求められているのは「快適さ」だけではなく、「背景としてどう使えるか」なのだと気づかされました。

冷静に考えれば、普通のオフィスのような背景であれば、わざわざスタジオを借りる理由は弱い。
そのことに、1年近くかけてようやく気づいた感じでした。

ただ、丸窓を作ったからといって、すぐに利用が大きく増えたわけではありません。
しばらくは、まだ低浮上のままでした。

ブラウン管テレビの追加投入(2024年8月)

丸窓を作った頃から、少しずつMV案件が増えてきました。
そのことで、ロケハン時に「何が足りないのか」を教えていただける機会も増えていきました。

その頃によく言われたのが、

「テレビってこれだけですか?」

という言葉でした。

当時はすでに特徴のあるブラウン管テレビが2台あったので、十分だと思っていたのですが、MVの現場ではもっと使いたいニーズがあったようです。

何度か同じような声を聞くうちに、これは増やした方がいいのかもしれないと思い、そこからすぐにブラウン管テレビを手配して配置しました。
結果として、空間はかなりにぎやかになりました。

ただ、数が増えればそれで完成というわけではなく、空間の中でどう見えるか、どう使われるかはまた別の話でした。

この頃はまだ知識も浅く、基本的には「見た目」で選んでいたので、揃えたテレビの多くは砂嵐しか映らないジャンク品でした。
中には、届いてすぐに壊れてしまうものもありました。

ブラウン管テレビを追加投入した時期のレトロポップ平和島の一角

2台から少しずつ台数が増え、空間のにぎやかさも大きく変わっていきました。

 

それでも、見た目で選んだことで、結果的に空間はかなりカラフルになっていきました。
このあたりから、スタジオ全体も「スペースエイジ」一辺倒ではなく、「レトロポップ」へ少しずつシフトしていった感じがあります。

ブラウン管を“背景から使える仕組み”へ(2025年3月)

スタジオにレトロポップな色味が加わったことで、世界観がかなり変わり、ご利用いただく方の幅も広がってきました。

その頃からロケハンで増えてきた質問が、

「このブラウン管テレビって映せます?」

というものでした。

それまではジャンクのブラウン管を揃えてきたので、正直そこまでは考えていませんでした。
でも、たしかに映せた方がMVでは演出の幅が大きく広がります。

そこから、何が必要なのかを一つずつ調べ始めました。

そもそもパソコンを映すにはHDMIからRCAへ変換するコンバーターが必要で、複数台に映すなら分配器も必要になる。
わからないことだらけでしたが、これができるようになったら、監督さんたちにとってかなり面白いはずだと思うと、すごくワクワクしました。

さらに、パソコン画面だけでなく、ビデオカメラの映像も接続できるように検討を進めました。
実際にMVで使っていただけた時は、かなりうれしかったです。

砂嵐だけでも十分エモさはあるのですが、やはりブラウン管を通した「画」には、編集では出しにくい独特のリアルさがあります。

分配器で複数のブラウン管テレビに映像を出しているレトロポップ平和島の一角

分配器を使って複数のブラウン管テレビに映像を出せるようになったことで、背景としての使い方が大きく広がりました。

ブラウン管テレビにパソコンを投影するブログ記事はこちらです。

今はAIでいろいろ再現できる時代ですが、だからこそ逆に、こういう物理的なブラウン管テレビによる仕掛けは、今後も価値があるのではないかと思っています。

3年かかってたどり着いた現在のスタイルと、これから

あらためて振り返ってみると、今の形にたどり着くまでにはかなり時間がかかりました。

丸窓と曲線家具が並ぶ現在のレトロポップ平和島の空間全体

丸窓、曲線家具、色のある小物が重なり、現在のレトロポップ平和島らしい空気が形になってきました。

まだブラウン管テレビが少なかった頃に使ってくださった方にも感謝していますし、ロケハンでヒントをくださった方々のおかげで、今のスタイルに育ってきた部分も大きいです。

ブラウン管テレビも、最初から完成形があったわけではなく、置き方、台数、見せ方、使われ方を少しずつ調整しながら、背景として機能する今の形に育ってきました。

もちろん、これで完成だとは思っていません。
ここからも、また新しい進化を重ねていきたいと考えています。

2026年3月にオープンした2店舗目の「GRID SPACE 旗の台」では、レトロポップ平和島では物理的に難しかった広さや天井高の違いもあり、より立体的にブラウン管テレビを活用したスタジオとしてご好評をいただいています。

GRID SPACE 旗の台の設計思想はこちらです。

 

一方で、レトロポップ平和島も2026年5月を目処にプチリニューアルを予定しています。
これまで続けてこられたことへの感謝を込めながら、これからも少しずつ、この場所らしい進化を重ねていけたらと思っています。

動画版もぜひご覧ください。

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